レンタカーで新生活
一九八九年にケンタッキー州で産声を上げ、当初は地元中心の小さな組織だった。
同州へ工場進出したトヨタが九一年から資金面などで援助すると活動範囲が拡大。
現在はニューョークやシアトルなど全米五十都市におよび、スタッフも設立時の十倍近い六十人に増えた。
トヨタは現地生産の歩調と合わせるように、米国での地域や社会に対する貢献活動を拡大している。
二○○○年度にニ百十万ドルだった費用は○五年度には五割増の三百十万ドルに増額、米ゼネラル・モーターズ(GM)の五百万ドルに迫る。
助成も教育だけでなく、最近は植林などの環境や交通安全にも広がった。
O碩取締役相談役は「利益のみを追求する企業は世界で尊敬されない」と指摘、貢献活動を企業戦略の一つと位置づける。
現地生産と社会貢献を両輪とする対米戦略は現在、欧州や中国でも生かされ、急ピッチで進むトヨタの海外展開を支える基軸となっている。
九八年からトヨタのエンジンエ場が稼働するウエストバージニア州。
拡張に次ぐ拡張でこれまでの総投資額は十億ドル以上、千百人の新規雇用を生んだ。
同州選出で民主党の重鎮、ロックフェラー上院議員は「州経済や州民の暮らしに多大な貢献をしている」と話す。
グループの部品メーカーを含めたトヨタの工場進出は、全米五十州のうち四十州近く。
地域に根差した地道な活動は選出議員らを通じて米政界に広がり、保護主義色の強い民主党内にも支援者を生んだ。
米国のトヨタ幹部が毎年九月、首都ワシントンで面会する議員数は今や共和、民主を問わず、上下両院百十人に膨らみ、自動車摩擦の抑止力ともなっている。
トヨタは○六年初め、全米五都市で一般市民百人を対象に面接式アンケートを実施した。
GMを抜いて世界一になることに対する米国人の素直な気持ちを調べるためだった。
回答の中でトヨタヘの批判めいた意見はなかったが「もっと社会貢献に取り組んでほしい」との要望が多かった。
トヨタ幹部は「存在感が増すにつれ、社会的な責任もより多く求められる」と気を引き締める。
米国事業を統括するニューョークの北米トヨタで○六年五月、初の米国人トップとなるジム・プレス氏が就任。
テキサスエ場の生産準備ではケンタッキーやインディアナエ場の米国人従業員が応援に駆けつけるなど「米国人による米国人のための車造り」(T・F会長)はいよいよ総仕上げの段階を迎えた。
国産初の対米輸出となった「クラウン」がロサンゼルス港に陸揚げされてから、○七年でちょうど半世紀。
「これからも良き企業市民として米国のために努力する」。
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